障害者自立支援法とは

長いあいだ障害者に対してのサービスは「措置制度」によって行われていました。 この「措置制度」は施設入所や在宅サービス利用の内容を行政が決定することから、障害者自身の意向が反映しづらいという点が課題でした。 　これを踏まえ、2003年4月「支援費制度」が施行されました。「支援費制度」は福祉サービスを利用する方が施設や居宅支援事業者等を自ら選択し、直接契約を行い利用する点で「措置制度」とは大きく異なるものでした。 　利用者は、利用したサービス費用の一部を利用者負担額として所得に応じ、事業者・施設に支払い、サービス費用の残りは支援費として市区町村が支払うというものでした。 　また、障害のある方が地域で自立した生活を営むために総合的な支援を行ない、ノーマライゼーションの理念の実現をめざそうというものであり、この制度により障害者への施策は大きく転換することになりました。 　しかし「支援費制度」には次のような問題点が指摘されていました。 障害種別によってサービス体系が異なり利用しづらい。 体制が不十分な地方自治体も多く自治体間に格差がある。 想定外の利用量急増により財源不足に陥った。 このような制度上の問題を解決するとともに、よりいっそう障害者自身が利用しやすく、安心して自立生活を送れるように2006年4月「障害者自立支援法」が施行されました。

障害者自立支援法のﾎﾟｲﾝﾄ

「障害者自立支援法」は「支援費制度」の課題点を解決するとともに、ノーマライゼーションの理念によりいっそう近づくために制定された法律で、ポイントは以下の通りです。 １ 　障害者の福祉サービスを「一元化」 　　　・サービス提供主体⇒市町村に一元化 　　　・福祉サービス⇒三障害（身体、知的、精神）共通の自立支援を目的とした制度 2 　障害者がもっと「働ける社会」に 3 　地域の限られた社会資源を活用できるよう「規制緩和」 4 　公平なサービス利用のための「手続きや基準の透明化、明確化」 　　　・地域格差の解消 　　　・公平にサービスを受けられるように統一した判断基準を設定 5 　増大する福祉サービス等の費用を皆で負担し支え合う仕組みの強化 　　　・利用したサービスの量や所得に応じた「公平な負担」 　　　・国の財政責任の明確化「補助から義務へ」

 障害者自立支援法のサービス

１．主に介護を目的とした支援を受ける「介護給付」障害者がもっと「働ける社会」に ２．主に訓練を目的とした支援を受ける「訓練等給付」 ３．市町村によってサービスを展開する「地域生活支援事業」 介護給付 居宅介護 自宅で、入浴、排泄、食事の介護などを行います。 重度訪問介護 重度の肢体不自由者で常に介護を必要とする方に、自宅での介護や外出時の移動支援などを行います。 行動援護 自己判断能力が制限されている人が行動するときに、危険を回避するために必要な支援を行います。 重度障害者等包括支援 介護の必要性の高い人に、居宅介護等の複数のサービスを包括的に行います。 児童デイサービス 障害児に、日常生活における基本的な動作の指導や訓練を行います。 短期入所 自宅で介護を行っている人が病気の場合などに短期間、夜間も含めて施設で介護などを行います。 療養介護 医療と常時介護を必要とする方に医療機関で機能訓練や看護、介護を行います。 生活介護 常に介護を必要とする人に、昼間に介護を行うとともに創作的な活動又は生産活動の機会を提供します。 障害者支援施設での夜間ケア等（施設入所支援） 施設に入所する人に、夜間や休日に介護を行います。 共同生活介護（ケアホーム） 夜間や休日、共同生活を行う住居で介護などを行います。 訓練等給付 自立訓練（機能訓練・生活訓練） 自立した日常生活おくれるように一定期間、身体機能又は生活能力の向上のための訓練を行います。 就労移行支援 一般企業等への就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。 就労継続支援（雇用型・非雇用型） 一般企業等での就労が困難な方に、働く場を提供するとともに知識及び能力の向上のための訓練を行います。 共同生活援助（グループホーム） 夜間や休日、共同生活を行う住居で相談や日常生活上の援助を行います。 地域生活 支援事業 移動支援 円滑に外出できるように移動を支援します。 地域活動支援センター 創作的活動又は生産活動の機会の提供、社会との交流を行う施設です。 福祉ホーム 住居を必要としているに、低額な料金で、居室等を提供するとともに、日常生活に必要な支援を行います。 ※「地域支援事業」の詳しい事業内容や利用者の負担はそれぞれの市町村によって異なります。